市場の動乱期はシェアを伸ばすチャンス
配信日:2023年3月29日
最近、Chat GPTの話題が多いですね。特にこの1か月ほど、これに関するウェブの記事は圧倒的に増えているのではないでしょうか。僕は「GPTさん」と呼んで時間のある時に会話を楽しんでいます。仕事では主にウォーゲーム(競合の動きを想定するシミュレーション)やコンセプチュアルな概念の整理などで使いますが、このメルマガやSNS(リンクトイン)では自分自身の言葉で発信することをルールにしています。モノ書きの端くれとしての矜持ですね。
日経新聞で「Microsoft、GPT革命に賭け全ての製品にAI」という記事を読みました。マイクロソフトはスマホ全盛の時代に乗り遅れ「オワコン」とまで言われていましたが、この対話型AIの登場で市場の主導権を取り返そうとしています。『サティア・ナデラ最高経営責任者は、新たなレースが始まると宣言した。一義的には検索エンジンの王、米グーグルへの挑戦状だ。シェア3%にとどまっていたBing(ビング)は3月8日に利用者が1億人を超えたと発表。グーグルは社内で非常事態を宣言した(日経新聞3月28日)』。まさしくテクノロジー業界にとってはスマホ登場以来の変革期だと思います。実はマイクロソフトには痛い経験があって、スマホが登場した2007年、当時のマイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー氏はiPhoneのことを「世界一高い電話」と揶揄したといわれます。しかし時代はスマホに傾いていき、マイクロソフトは完全に乗り遅れました。
ビジネスやマーケティングでは新しいものが必ずしも成功するわけではないですが、マイクロソフトのような巨象が本気で取り組んだときは事情が違います。同時にマイクロソフト以外のブランドにとってもこれはチャンスであることが多いものです。動乱期。つまり市場がぐちゃぐちゃになる時、その「どさくさ」を利用してシェアを高める戦略はテクノロジー業界に限らず、様々な業界で見られます。僕がみている消費財やサービス財の世界でも全く同じです。今後、マイクロソフトは再起を果たすでしょう。同時に他のブランドにも変化が見られるでしょう。しかしその「どさくさ」に紛れて、まだ見ぬ企業がこの機にシェアを伸ばしマジョリティの仲間入りをすることも想定されます。