トレンドとファッド
配信日:2023年7月12日
Meta社の新しいSNSが話題になっています。『米メタが始めた短文投稿サービスThreads(スレッズ)の登録者がアプリ公開から2日間で7000万人に達した(日経新聞7月8日)』。どうやらツイッターを模したもので、マスク氏に経営が移った後のツイッターのごたごたに乗じて伸びているようですね。しかもインスタグラム(Meta社のSNSブランド)の利用者はそのアカウントでログイン出来て、同じ人を簡単にフォローできるのも始めやすい理由のようです。ブランド戦略の視点でみれば「競合の弱みと自社の強みの鞍点を見つけ、導入早々、伸びるべくして伸びた」事例だと思いますが、果たしていつまで続くか。
市場や製品の成長曲線を見る時「トレンド(Trend)とファッド(Fad)」という概念があります。トレンドは、長期間にわたって持続する可能性がある新しい方向性や傾向を指します。例えば、持続可能なライフスタイルへの関心やテクノロジーの進歩によるデジタル化などは、現代のトレンドの一部ですね。一方、ファッドは、一時的な熱狂や一時的な流行を指します。ファッドは、突然現れ、急速に広まり、同じくらい急速に衰える傾向があります。例えば、一時的な目新しいダイエットや特定のゲームやおもちゃなど、一時的なブームはファッドの例です。ファッドは、マスレベルの関心を引きますが、長期的な持続力はないようです。
今回のThreadsはどうだろうか。もしツイッターがこのまま落ちていけば乗り換える人も増えて長期的な成長が期待できるかもしれません。しかし特に目新しさや「魅力的価値」と言えるものがない以上、やはり一時のニュース性が盛り上げたファッドに終わってもおかしくないでしょう。Meta社は後者であっても問題ないと考えているでしょう。いまのMeta社の苦しい状況であれば「それでも満足」かもしれません。これが仮にMeta社のような展開力やインスタの資産がない会社が始めたSNSであればファッドにすらならないだろうと推察します。
僕たちが考えたいのは「組織力や展開力のある会社はこのような事業・新製品でもよいが、そうでない会社は差別化をもっと意識して頭に汗をかくべき」ということでしょう。今回のニュースであらためて思ったのがここでした。ここにマーケターの付加価値を見つけます。