スーパードライのリニューアル

配信日:2022年1月12日

2022年2月にスーパードライがリニューアルします。日経新聞によると、この背景にはビール系飲料市場でキリンに取られたシェアを巻き返す目的と酒税改正があります。酒税改正はこれまでもビール業界の動きに大きく影響してきました。新ジャンルを生み出した背景もこれでした。今回の改正はビールが77円(350ml)から70円に減税になり、新ジャンルは逆に28円から37.8円に増税になるというもので、ゆえにビール各社はビールに力を入れる動機になっています。

日経新聞の出したビール系飲料における各社の推定シェアも興味深くみました。
「復権ビールに大手が火花 アサヒは「ドライ」を全面刷新」(日経新聞2022年1月6日 )

これをみると2009年頃からキリンのシェアが大きく落ちていき、アサヒが盤石のシェアを保つ状況が2017年あたりまで続きます。そして2018年から今度はキリンがアサヒを猛追して2020年には逆転するという流れになっています。ただ、注意深く見てみるとキリンがシェアを落としている頃、アサヒはそれほどシェアを伸ばしているわけでもない。よく見ると3番手のサントリーが同じ時期にシェアを猛然と伸ばしているのがわかります。そして頭打ちになるのがやはり2018年頃。僕の『数字とブランド』第一章に書いた「シェアの法則」に従うと、キリンはアサヒよりもサントリーにシェアを奪われたと思います。キリンとアサヒが新ジャンルを中心に二頭馬の競争をしている時に、サントリーは「プレミアム・ビール」で差別化してまんまと漁夫の利を得たように思えます。1番手と2番手の競争は同質化しやすく、3番手は明確な差別化を行うことでシェアを伸ばす。

そして2018年頃になると今度はキリンがシェアを伸ばし始めます。シェアが落ち切った頃のキリンは、おそらくサントリーを競合とみなしていたのではないかと思います。「勝ち安きに勝つ」というのが戦略の基本だと知っていれば、いまだ下位ブランドのサントリー、特にプレモルに対して「クラフト・ビール」を当てていくのは理屈に合います。「プレミアム・ビール」対「クラフト・ビール」の構図です。結果、サントリーの勢いは頭打ちになった。しかしこれは思わぬ効果も発揮し、一番大きなシェアを持つアサヒからも大いにシェアを奪った。最も大きなシェアを持つブランドは最も大きなビジネスソースでもあるのです。

2022年、キリンに対してアサヒはスーパードライのリニューアルという戦略を出した。味も変え、パッケージも変え、マーケティング投資もふんだんに行うようなので結果が楽しみですね。特にスーパードライほどのブランドがどのように再生しシェアを挽回するのか、これはマーケターなら誰しも興味津々だと思います。

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