新語・造語戦略
配信日:2022年11月30日
ブランディングではブランド連想をとても重視します。例えば「醤油といえばキッコーマン」というように「○○といえばこのブランド」と連想ゲーム的にブランドを思い出してもらうことです。なぜならこれがあると販売効率が非常に良いからです。「醤油がきれた。今日はキッコーマンを買っとかなきゃ」と瞬間的に連想してもらえれば、店頭に来る前から売れているのと同じなのです。もちろん店頭で別のブランドにこころ移りすることもあるでしょうが、ほぼ事前に決めたものを買う可能性が高い。多くのトップブランドはこのようにして商売をしています。
ではセカンドブランド以下はどうするかと言うと「別の言葉」から連想してもらうことをします。去年、鹿児島に行った時、フンドーキンという甘口醤油に出会いました。お刺身につけて食べてみると美味かった。東京でも売っていることを知り、以来、「甘口醤油といえばフンドーキン」です。このように「醤油」という言葉が既にトップブランドに保持されている時は「〇〇醤油」のようなサブ・カテゴリーを作って(セグメンテーションして)自ブランドへの連想を作るのが定石です。
このブランド連想はクリエイティブの典型でしょう。サブ・カテゴリーを作る以外にも新語や造語を梃子にしてブランドを思い出させることもします。「メタボ」という言葉は、すでに馴染みのある言葉になっていますが、昔はなかった新語・造語でした。「メタボといえばタニタ」となります。タニタは体重計のメーカーでしたが、リブランディングを行い「体重を測る会社」から「健康を測る会社」になりました。「メタボ」は誰も手を付けていない言葉で、タニタはそこに一番乗りしたわけです。「歯周病」も昔はない言葉でしたが、いまでは「歯周病といえばサンスターGUM」と誰もが思い出します。サンスターは歯周病がまったく知られていなかった1985年頃からこの言葉に取り組み始め、いまでは世の中が知る言葉になりました。
健康以外、例えば食品の世界でも「悪魔メシ」「ロカボ」「完全栄養食」などは新語・造語の類でしょう。完全栄養食は日清食品の造語だと思います。トップブランドがどれくらいの期間でどのようにリブランディングを進めるか注視しています。