値上げを通じて価格帯の二極化が進む

配信日:2022年4月7日

食品の値上げが身をもって実感できるようになってきました。朝食にヨーグルトと一緒に食べるキウイ。それまでは128円でしたが4月から138円になりました。たかが10円ですが8%の値上げ。日経新聞によると昨年秋以降に値上げしたパンや冷食など14品目のうち12品目が3~9%の値上げをしたと言います。

今回の値上げは流通の速やかな合意もあり末端価格に転嫁されやすくなっているようですね。PBの価格も同様。この背景には急激な円安と海外インフレという「全業種にまたがるコスト上昇」が影響しています。これまでは、例えばコーヒー豆の相場によってレギュラーコーヒーの値上げをしなければならないなど局所的な値上げが多かったと思います。しかし流通からの理解は得られても値上げ合意まで得られるとは限りませんでした。結局はトップブランドの動向を見ながら値上げのタイミングを計り、かつ追加リベートなども準備して何とか値上げさせてもらうというのが実情だったと思います。結局はメーカーが耐えていたわけです。今回の値上げはその点、社会全体の値上げという点で理解と合意が速いのでしょう。

メーカーも単なる値上げではなく、より高品質な製品ラインを導入することで価格相応の価値を提供する動きもあります。例えば大衆薬。「ロート製薬の場合、1979年発売の新Vロートの希望小売価格は現在825円。一方、疲れ目などに向けたVロートプレミアムは1650円で価格は2倍だ。その差についてロートは、同社で最多の成分を配合するなど原材料の違い、研究開発費などを理由に挙げる。例えば差し心地のために添加物の配合も工夫。趣味などを満喫したい60~70代のアクティブシニア層がターゲットだ(日経新聞3月19日)」。ここには「機能性」「理由(RTB)」「顧客ターゲット」をしっかり示す意図が見られ、しかるべき納得感を得る値上げ戦略に繋がっているようです。

一方、生活者も値上げが多くなれば生活の工夫もします。なにも高機能なものを求めなくても「普通のモノを普通に使えれば十分」という中庸志向が増えるでしょう。そして「相対的に安い店」で買う人が増えるでしょう。更には「食費以外の出費を減らす」こともするでしょう。それによって生活のペインは解消、または均質化されていくと思われます。こうしてみると、値上げを通じて今後、高価格帯と低価格帯のより一層の棲み分けが進むと思われます。

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