優位性のある棲み分けとは?

配信日:2022年5月25日

ロシアとウクライナの情勢はかれこれ3ヵ月にも渡り、いまやどちらが優勢なのか、本当のところよくわからないと思っています。当初、その戦力差からロシアが短期間で決着をつけるのではないかと思っていましたが、いまや消耗戦の様相を呈しています。僕は戦争のことはよくわかりませんが、マーケティングでも消耗戦はあります。多くの場合、優位性のない棲み分けに下位ブランドが甘んじる時、それは上位ブランドに有利に働く「下位ブランドの消耗戦」になります。ポイントになるのは「優位性のない」です。棲み分け自体はそれほど問題ではない。何らかの独自性や差別化ポイントを持って市場を分割することは出来るものです。しかし優位性がそこにない場合、その棲み分けられた市場はまるで「砂場の棒倒し」のようにジリジリと上位ブランドに侵食されシェアを落としていきます。

言うまでもなく、消耗戦になったら「大きいほうが勝つ」。だから上位ブランドは意図的に消耗戦をしかけるものです。典型的なのは同質化戦略。中国の家電製品やスマホ・ブランドを持ち出すまでもありません。下位ブランドの独自性や差別化ポイントを打ち消してしまい、更に時間をかけて対峙すれば大きいほうが必ず勝ちます。だから下位ブランドは同質化戦略を仕掛けられないように「戦略的ジレンマ」を誘発することを考えるわけです。つまり上位ブランドが「真似できるけれどマネしたくない」「これをやったら自己矛盾を起こす」と同質化を躊躇するようなポジショニング戦略を採るわけです。

この真似されないポジショニングこそが「優位性のある棲み分け」のコツです。例えばAirbnbの「オンライン民泊」はホテル業界に対する優位性のある棲み分けだと言えます。ホテル・ブランドにとっては「真似できても真似したくない」状況です。それによってエアビーはいまや世界最大の宿泊ブランドになった。ニンテンドウスイッチもそうでしょう。スマホゲームが盛況を極める一方でスイッチは独自のゲーム画面を使うのみならず自宅でテニスや格闘など「身体を使ったゲーム」が出来る。これも優位性のある棲み分けだと言えます。これらを「健全な棲み分け」と呼んでも良いでしょう。下位ブランドが上位ブランドに対して浸食されないカタチで均衡を保つ時、力技ではないマーケティングが可能になり、シェア獲得も現実味を帯びるのです。そして仮に上位ブランドや他の競合が同調してきて市場の潮目が変わるとシェア獲得は一気に加速するようです。これが下位ブランドの取るべき戦略の醍醐味でしょう。

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