普遍的な価値というブランド力
配信日:2024年11月13日
急速な変化の中で、人々が心の拠り所を求める時代。ブランドの「普遍的な価値」こそが、消費者の不安を解消し、信頼を築く鍵になっています。「期待通り」「裏切らない」「安定している」。こうした感覚が、いまのような不安定な生活者の日常を支える拠り所となるのです。
例えば、ユニクロの「ヒートテック」は、革新性が話題になりましたが、消費者が期待しているのは、毎年変わらない快適さと品質です。同じように、キッコーマンの醤油は、世代を超えて「変わらない味」を提供することで、日常生活における信頼を築いています。サントリーの天然水もまた、品質の信頼性と環境への配慮を両立し、日々の安心感を提供しています。これらのブランドは、「普通」であることが、むしろ特別な存在感を生み出していると言えます。
なぜ企業はブランド価値を見直すのか
このような背景の中、多くの企業が本来のブランド価値を見直し始めています。かつては「高品質な製品」や「新しい技術」が競争力の中心でしたが、今ではそれらが「一時的なもの」として扱われるようになったのかもしれません。目新しさを追求するマーケティングキャンペーンが一過性の効果にとどまる中、生活者は「迷わず選べる安心感」を求めるようになっています。
変化のスピードが増す中で、企業が競争を超えて生き残るためには、「存在感」の再構築が欠かせません。それは、単なる目立つ活動ではなく、日常の中で変わらない価値を届けることで初めて実現されるものです。
存在感をどう築くか?
ブランドが存在感を築くために重要なのは、「変わらない価値」を消費者に伝え続けることです。ただし、ここで注意が必要なのは、一度伝えたら終わりではないということ。どれほど素晴らしいベネフィットがあったとしても、それを手を変え品を変え、絶えず新鮮に届ける努力が欠かせません。
たとえば、同じベネフィットを伝えるとしても、時代や消費者心理に合わせたアプローチが必要です。消費者の不安を解消するストーリーとして伝える、日常に溶け込むメッセージを表現する、あるいは環境や社会への貢献をブランド価値の一部として示す。こうした「伝え方の進化」が、ブランドの信頼を保ち、存在感を高める鍵となるのです。
普遍的な価値が未来をつくる
「変わらない価値を伝え続ける」という地道な努力が、これからのブランドにとって最も重要な課題です。消費者にとって迷わず選べる存在感を持つブランドだけが、複雑で見えにくい時代の中で確かな未来を築くことができるのではないでしょうか。