リブランディングの考え方とポイント
配信日:2024年11月6日
リブランディングとは
今日はリブランディングについて話しましょう。リブランディングとは、ブランドの提供価値が陳腐化、または低下してしまったときに、そのブランドに新たな活力や方向性を与える施策です。リブランディングには「価値の再定義(時には新価値創造)」と「あらたな価値の再伝達」が含まれます。つまり、ブランドを再び「選ばれる存在」に戻すための「梃入れ戦略」と言えます。
リブランディングを行ったにもかかわらず、上手くいかず…
しかし、多くの企業がリブランディングを行ったにもかかわらず、上手くいかずに「再三のリブランディングを繰り返す」ケースがしばしば見られます。これは何が悪いのでしょうか?
そもそも課題をしっかり捉えていなかった可能性があるでしょう。
またリブランディングと称する「表面的な変更」に留まっていたことも考えられます。表層的なイメージ変更やデザインの刷新だけで本質的な価値が変わらなければ、顧客からは一過性の変化と捉えられやすく、根本的なブランド価値の再向上には結びつきにくくなります。
リブランディングを成功させるためには
リブランディングを成功させるためには、いくつかの鍵となる要素があります。まず、最初に必要なのは消費者インサイトの見直しです。時には「消費者」だけでなく「生活者」まで広げてインサイトを行います。「消費者」は「現在ブランドを買ってくれているお客さん」ですが、「生活者」は「まだブランドを買っていない人たち」も含みます。なぜ彼らは買ってくれないのか。ここには消費者を見ているだけでは得られない「不」があり、成長の伸びしろが見つかるかもしれません。
次に競争戦略をじっくり考えることが重要です。競合との差別化はもちろんですが、「このポジショニングで我々がリブランディングをした場合、競合ブランドはどう動くだろうか」という視点がより重要です。まるで池に石を投げたときのさざ波のように、市場の中心軸がどう変わるか、その動きによってシェア獲得や市場創造がどれほど容易になるかも視野に入れながら、未来の市場状況を予測することが必要です。
また、ブランドメッセージの開発とそれに伴うコミュニケーション要素の整理も大切です。ブランドロゴやキービジュアル、カラーリング、時にはキャラクターの見直しを通じ、消費者に新たな印象を残すことが求められます。こうした部分には優秀なクリエイターの力が必要ですね。
最後によく忘れられがちなのが、ブランド体験の再構築です。リブランディングの本質は、まさにブランド体験の再構築にあります。消費者に新しい体験価値を提供し、それが彼らの心に響くことで、信頼と支持を得られるのです。単なるお化粧直しではなく、ブランドの「新たな体験価値」を消費者に実感してもらうことが、リブランディングの鍵と言えるでしょう。
リブランディングを成功させる3つのポイント
つまり、リブランディングとは「見た目の刷新」だけでなく、「新しい価値」を消費者に実感してもらうことが重要です。そのためには、以下の3点を意識することがポイントです
- 既存顧客だけでなく、まだブランドを使っていない人たちの価値観やニーズに目を向ける
- 競合ブランドがどう動くかを予測し、ブランドの独自性を強化するポジショニングを考える
- 単にデザインやメッセージを変えるだけでなく、消費者に新しい体験価値を提供する
これらを意識することで、リブランディングは「一時的な変化」に留まらず、顧客との関係性を深め、ブランドの信頼と支持を再構築する力を持つものとなるでしょう。