ビールはエンタメだ!
配信日:2024年5月31日
今週水曜日にNIKKEI LIVE ヒットのクスリB面「ビールはエンタメだ!アサヒ社長に聞く」に参加しました。日経の中村直文さんが司会進行しながら、アサヒビールの松山一雄社長がビール事業での取り組みについてお話をされる貴重な機会でした。なにかとニュースになるアサヒビールさんですが、あらためていろいろな挑戦をされていると知りました。その背景にはビール(および酒類)市場への危機感があります。飲まない人が増えている。これはよく知られていることですが、興味深いデータも見せてもらいました。
20代から70代の人口は約9,000万人。そのなかでお酒を飲む人は2,000万人。一方で、家と外を含めて月に1回未満の飲酒の人は2,000万人。そして、お酒を飲まない人(飲めるけど飲まない+飲めない)はなんと5,000万人もいるとのこと。もはや飲酒は「少数派」によって支えられているわけです。酒類業界は僕にとってもなじみのある業界です。「少なくとも飲酒人口は少数派ではないだろう」と感じていただけに、正直、ショックでした。言葉を替えれば、酒類業界はわずか2,000万人を対象に、文字通り無数の製品ブランドが熾烈な競争をしているわけです。これがアサヒさん、そして他社も新しい取り組みをしている理由です。松山社長の言葉が印象的でした。「競合を見て出す製品は消費者不在である」「新しいことや楽しいことに果敢に取り組んでいかないと生き残っていけないのではないか」。
アサヒビールのような会社でもこのような危機感を持っている。そこにはコロナ禍で飲食店・業務用の市場が一気にゼロになった経験があると聞きました。「あのようなことはもう二度とイヤだ」。酒類業界に限らず、コロナ禍で辛い経験をした会社は多い。しかし「喉元過ぎれば熱さを忘れる」かもしれません。あらためて矜持を正す思いでした。
そして「新しいことや楽しいこと」の「楽しい」が新しいことに挑戦するモチベーションでもあると思いました。義務感で何か新しいことをやろうとしても続かないし、ビジネスであれば成功しない。しかし楽しいことは積極的に取り組める上に、ダメならダメで、早く失敗してそこから賢く学び、次の挑戦に活かすことが出来ます。あらためて小さく始めることが大事とされる理由ですね。そして最初からアイデアを絞り込み過ぎず、楽しいことを許容することも大事な企業戦略と思いました。アサヒビールさんに限らず、多くの会社に当てはまる考え方ではないでしょうか。