インナーブランディングのコツ

配信日:2024年3月19日

今回はインナーブランディングについて考えてみましょう。インナーブランディングは「従業員・スタッフがいきいきと働ける環境をつくること」です。その先には「会社やブランドに愛情をもって今まで以上に取り組んでもらう」という目的もあります。モチベーションを高めたいのですね。ただ会社はそう考えるのですが、そうなるかどうかは従業員やスタッフ個々人が決めることでもあります。自己のキャリアのために働き「結果として会社やブランドにも貢献する人」もいますし、ワークライフ・バランスの一環として「いきいき働ける環境に満足して終わる人」もいるでしょう。

色々な会社がありますが、インナーブランディングが特に大事なのは小売業・飲食など含むサービス業でしょうね。なぜなら従業員・スタッフ自身が顧客のフロントエンドになるからです。彼らが提供するモノ・コト・ココロによって売上を左右するのは明白。そして最も効果的に従業員を動機付けるものは「お客様の喜び・感謝の言葉」です。これはデータ的にも体験的にも納得がいくものです。ただ面白いことに「お客様の喜び」を目標や企業理念にしても、それに賛同する「賛同派」と、逆に冷笑的な「冷笑派」がいることです。前者はよいとして、後者は「何きれいごとを」と捉えていることもあります。なぜこうなっちゃうのか?

どうも職場環境によって「お客様から感謝されやすい職場」と「感謝されにくい職場」があるようです。賛同派のひとはお客様から感謝されやすい職場で働いていることが多い。冷笑派はその逆です。感謝されやすい職場は、例えばレストランやエステ、美容室、専門店。または高級ブティックやブランド・ショップ。こういう環境の多くはお客さんの質が良く、時間をかけて向き合うほどお客さんの価値になり、時には高額であることすら価値になるという特徴がある。逆に冷笑派の職場というのは、例えばコンビニやケータイショップ。病院や区役所などもそうかもしれない。そこでは、お客さんが必ずしも悪いわけではないが「それまで出来たことが突然、出来なくなった。めちゃ困っている」など、ストレスを抱えている客が多く、叱られやすい。お客さんの不満や欲求に短時間で対処しないと益々不満が高まっていく。ただしそれに応えても「出来て当然」と思われることが多く、「ありがとう」とか「助かりました」などとは滅多に言ってもらえないという特徴があるように感じます。こんな絶対に褒めてくれない環境で「どうやってお客様の喜びのために働けばよいのか」というのが冷笑派の本音ではないかと思います。最近、東京都がカスハラ防止条例を検討していますが、こういう職場でのモンスター客対策とワーカーの保護が目的です。

冷笑派の職場では、だからこそ社内で「感謝の意を伝える」が尚一層、大事になりますね。お客にも叱られ上司からも叱られ、または褒められもせず、なんのフィードバックもないとすると、あまりにも浮かばれません。時に顧客に叱られ無茶を言われた部下の悩みを聞き、受容し共感し、ねぎらい、感謝の意を伝える。絶対に否定しない。意見を押し付けない。「ありがとう」「よく頑張りましたね」「いつも助けてもらっています」。これだけでどれほど救われるかわかりません。もちろん賛同派の職場でもこのようなコミュニケーションは極めて大事だと言えます。従業員同士や上司と部下のコミュニケーションを通じて、お互いの努力や貢献を認め、感謝の気持ちを伝えることで、職場の雰囲気が改善され、組織全体のパフォーマンスにも良い影響を与えることでしょう。そもそもインナーブランディングという枠を超えて、人間的なつながり、共同体とはこういうものだろうとも思います。みなさんに部下がいるのであれば、どんな関係性であれどんな職場であれ、まずはここからやってみると良いと思います。これがインナーブランディングの実践的な始め方です。ほどなくして職場の雰囲気が驚くほど変わります。それは顧客にも伝わり会社とスタッフのファンになり、最終的には会社の業績にも好影響が現れるはずです。

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