ブランドの世界観を理解するにはどうしたらよいか?

配信日:2024年8月2日

先月、葛飾・柴又を散策しました。帝釈天の参道でランチを頂き、そのまま山田洋次ミュージアム、葛飾柴又寅さん記念館へ行きました。山田洋次監督の作品のなかでも「幸福の黄色いハンカチ」が好きです。網走から夕張まで、北海道を高倉健さん、武田鉄矢さん、桃井かおりさんが赤いマツダ・ファミリアで一緒に旅する話です。この作品をみたのは、まだ5年生くらいの頃でした。ある日、田舎に移動式の野外映画館がやってきて、秋の夜に両親とみました。大人になったいまでも、たまにアマゾン・プライムでみます。さて寅さん記念館ですが「男はつらいよ」のセットや小道具、登場人物の解説や名場面などが飾られています。こうして撮影セットのなかに入ってみると、そこはかとなく寅さんの世界観に没入することが出来ます。

ブランディングでは、この独特な世界観のことを「ブランド・ユニバース」と言います。ブランドの資産であり情緒的な差別化を生み出すもの。同時にファンを魅了する要素であり、ブランドとファンを繋ぐコンセンサスでもあります。しかし世界観というのは言葉にするのが難しい、捉えどころのないものです。ひとによって微妙に違うのは当然で、それをマーケティングチームで共有することが課題でもあります。ゆえに世界観の定義を試みる企業は多い。ほとんどは言葉とビジュアル(コラージュなど)によるものです。しかし世界観はわずかな言葉や絵で説明できるようなものではなく、表現の限界もあり、作ってはみたものの「何かしっくりこない」となることが多いのではないでしょうか。昔、AGFにいた頃、会社の倉庫で「ブレンディワールド」なる畳一畳分ほどの巨大なジオラマを発見したことがあります。大掃除をしていてたまたま見つけたのです。これなどもブランドの世界観をよりリアルに共有するためのアイデアだったと思います。しかし埃をかぶって倉庫で忘れられていることを思うと「あまり役に立たなかったのかもな」と思いました。

そもそもブランドの世界観というのは理屈で理解しよう(させよう)としても限界がある。これが一つの結論だと思います。ではどうするか。寅さん記念館ではないですが「体験を通じて肌で感じる・理解する」のが良い手だと言えます。まるでディズニーランドでディズニーの世界観を感じるようなものです。テーマパークに限りません。実際に触れてみる。食べてみる。参加してみる。そこで感じたものがベースになります。逆に言えば、企業がブランドの世界観を構築するには「そのブランドらしい仕事をする」ことが重要だといえます。ただ単に仕事をこなすのではなく「仕事(世界観)を蓄積する」感覚でしょうか。そこにブランドの「らしさ」や「色」の足跡を残す。私たちビーエムウィンもそのような仕事をこころがけています。そのようにして蓄積された認識がブランドの世界観です。それがある程度のマスレベルの顧客に共有された時、ブランドは独特な世界観をまとった存在になります。

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