日本企業に必要なベネフィットを伝える力

配信日:2024年10月16日

日本企業にとって製品開発は常に最重要視されてきました。良い製品づくり、新技術、優れた機能、目新しさ。これらに時間とリソースを惜しみなく投入し、素晴らしい製品を市場に提供する。しかし、どれだけ優れた製品でも、消費者にその価値が正しく伝わらなければ、その製品は売れないことが多い。ここに日本企業の課題があるように思います。製品の特性や機能を強調する一方で、消費者にとってのベネフィット(利益・価値)がどういったものかをうまく伝えられないケースが多々見られます。特に、テクノロジーや高性能を誇る製品ほど、スペックや機能の話に終始しがちです。しかし、消費者は「どんな機能があるか」よりも、「その機能がどう役立つのか」を求めています。

この視点の欠如が、日本企業が抱える最大のマーケティング課題の一つではないでしょうか。どれほど技術的に優れていても、日常生活でその価値が実感されなければ、製品は消費者にとって魅力的に映りません。結局、消費者に選ばれるのは、機能そのものではなく、その機能がもたらす価値やメリットなのです。例えば、ブランドコンセプト。世の中には様々な「コンセプト」と呼ばれるものがありますが、最も成功するのは、消費者にとってのベネフィットを基に定義されたものです。ブランドの価値やビジョンを伝える際に、単に「こういう技術がある」「こういう機能を搭載している」という説明に終始してしまうと、消費者の心に届かない可能性があります。では、消費者に届くコンセプトとはどんなものかというと、そのブランドや製品を使うことで、消費者がどんな体験を得られるのか、どんな問題を解決できるのかを伝えるものです。たとえば、「この掃除機は吸引力が強く、細かいゴミも逃しません」という説明は、機能を伝えるものに過ぎませんが、「この掃除機を使えば、短時間で簡単に家中がきれいになる」というメッセージは、消費者が具体的に感じるベネフィットを伝えています。

さらに、消費者視点でのストーリーテリングも重要な要素となります。機能やスペックの話に終始せず、消費者の日常生活や抱える課題にどのように寄り添い、解決できるのかを具体的に伝えることが、真のブランド構築につながります。例えば、エコ製品なら、「環境に優しい」という漠然とした価値を超えて、「この製品を使うことで、あなたの家族や未来の世代にどんなポジティブな影響があるのか」といった具体的な未来を見せることが重要です。多くの日本企業が苦戦するのは、この消費者の生活に寄り添ったストーリー作りです。消費者に対して、技術的な凄さを伝えるだけではなく、彼らの生活がどう変わるか、その変化がどれほど価値あるものかを伝える必要があります。ベネフィットを正しく伝えることは、消費者との信頼関係を築くための基本的な要素であり、その基盤の上に成り立つブランドこそ長期的に成功します。

来週、10月25日にJMA日本能率協会さんで「新任ブランドマネージャー入門セミナー」を開催します。過去3回の開催では、受講者の方々から「学んだことをすぐに実務で活かせるので、即戦力になる」といった高い評価をいただきました。今回はさらに講座内容をリニューアルし、ブランド戦略に必要な知識とスキルを深く掘り下げます。

このセミナーでは、単なる理論だけでなく、ブランド戦略を現場で実際にどのように展開していくかに重点を置いています。講義と演習を組み合わせ、学んだ内容を即実務に活かせるフレームワークを提供しますので、受講後すぐに実務に反映し、ブランドマネージャーとして成果を出すことができるようになります。

講義だけでなく、グループワークや演習を通して、自社のブランドに即応用できるスキルを身につけられるこのセミナーは、製品開発担当者や新任ブランドマネージャーに特にお勧めです。

2024年10月25日(金)
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