解決不能な課題に取り組む事業責任者

配信日:2024年2月14日

「事業の立て直し」という言葉を聞いてワクワクする事業責任者は一定数いるように思います。僕自身もマーケ部長だった頃からそうでしたし、いまでも心躍る案件はこれです。何がこんなにワクワクするのか。その根幹にあるのは「純粋な挑戦」でしょう。事業責任者の重要な資質だと思います。彼らが定義する成功とは「不可能と思われることを克服すること」「解決不能と思われてきた課題を解決すること」です。時には敢えてそのような役をかってでる人もいる。どうも成功体験を積んだ人ほどそのような傾向があるのではないかと思います。だからどんどん腕も上がります。結果、非常に高い自己効力感を纏うことになります。

僕自身、このような事業部長やマーケ部長と働いていると本当に楽しい。その人が新たに問題部署に着任されたなどの状況は、特にゾクゾクします。ご本人もまだ「当たり」をつけている状態での壁打ちになります。だから僕も「全身を耳」にして聞き入りますし、率直な質問をして相手の深い思考を引き出すように努めます。そして具体的なプロジェクトを組んで現場の方々とセッションをする。現場には現場の考えがあります。それらはもっともな話も多い。しかし、それこそが事業の立て直しの障害になっていることもあるものです。過去、つまりそれまでの考え方・やり方など「慣性の法則」に足を絡められていることは多いものです。上記のような新任の事業責任者が直面するのはこうした内部の課題がほとんどです。

もう20年以上も前の話になります。サラリーマン時代に僕が在籍した会社でもこのようなことがありました。当時、僕自身は既に退職し別の会社に移っていましたが、文字通り「業績を立て直すために親会社から新たな社長がきた」と、かつての上司から話を聴いていました。「会社のなかが内戦状態のようだ」。それまでの確立されたやり方と新社長が持ち込んだ全く別の考え方とやり方。それまでの良かれと思っていたことを改めるために新社長自ら現場に降りて細部をみて廻ったと聞きました。やたら細かいことにも口を出し、会議ではそれまでの価値観とまるで違う意見を言い、強制的な指示もあり。特に数字には極めて詳しかったと聞きました。それも売上や利益ではなく接待費やタクシーの経費などです。結果、多くの人が会社を去りました。しかし3年後、会社はみごとに蘇りました。それと同時にこの経営者も身を引きました。この潔さも純粋な挑戦を好むビジネスパーソンの特徴かもしれません。上司からこの新社長の「語録」をもらったことがあります。強烈な内容でした。しかし経営の現実的な洞察と知恵に溢れたものでした。いまでも読み返すことがあります。

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