パーソナル・ブランディングの威光効果と後光効果
配信日:2018年11月14日
働き方改革と言われています。私の目からのそれは「ピンで働く」です。これは派遣社員も含むと思います。先日、ある調査結果で派遣社員のひとたちのデータがありましたが、40%ほどが「好きな時に好きなように働きたいから」と自らのスタイルをポジティブに答えているのが印象的でした。ダイバーシティという言葉は企業側よりもむしろ、個人側から始まっているように思いました。派遣社員の話はこれくらいですが、ともかく今後は自分らしく自由に働き稼ぐことが、おそらく理想的な形なのだろうと思います。
ピン芸人のごとく、自分のブランド力で稼ぐには、まず一流のスキルを身に着けなければなりません。当然、好きなことを仕事に選ぶことが大事。しかし「好きなことを仕事にする」とは、精々、スタートラインについたくらいの意味しかありません。競争が待っているし、稼げるようになるには人一倍の努力がいります。
問題なのは、一流のスキルはあるのに高い値段で売れない人たちです。彼らにはパーソナル・ブランディングが足りてない。自分をどのようにブランドとして世間に示せるか。そして、それをどうやって一人でも多くのひとに認知させるかです。最後に、そのスキルをもって対価以上の満足をお客さんにしてもらうこと。それが出来ると次の高値の仕事が向こうからやってきます。もちろん人間的な魅力は絶対に必要です。スキルだけで成功するような人は断じていません。人間的魅力、それこそが「紹介が紹介を生む」のです。こうしてピンの仕事人の「成功のキャリア」の環が出来上がり、それが大きく回りだします。
ピンで仕事をすることを考える人にとって、自分をブランドとして世間に示すことが差し迫った問題でしょう。ヒントを言いましょう。「ひとは誰かの威光を借りて自分をブランディングする」ものです。これを「威光効果」と呼んでも良いでしょう。虎の威を借るナントカではないけれど、他人や自分以外の何かによって、本人の「後光」を増すとでもいいましょうか。これを自分のブランドに利用すれば、次のような切り口はヒントになるでしょう。例えば、「家柄」「国」「出身地」「顧客イメージ」「コラボレーション相手」「第三者の評価」「推薦文」「出版」「メディア出演」「有力なコネ」など。親の七光りだって、気にせず使えばよいと思います。また自分の努力によるもの、例えば「実績」「職歴」「生い立ち」「学歴」「資格」「専門」「フォロワー数」は堂々と示せばよい。ちょっと運の要素もあるけれど、本人の「見た目」も後光を発する力があるし「名前(ネーミング)」を変えることも後光効果を得る戦略です。
例えば、「職歴」をベースに自分をブランディングするのはピンの仕事人の典型アプローチです。「ミズノさん」というひとは日本全国に17万5000人ほどいます。固有名詞だけでミズノさんと言っても「誰それ?」となりますが、「味の素ゼネラルフーヅでブランド・マネージャーをしていたミズノさん」となると、おそらく私一人しかおらず、かつ会社ブランドの威光を借りた後光を得ることが出来ます。もしそれで威光効果が足りなければ、二つ目、三つ目の形容詞を足していけばよいのです。このように自分の名前の前に威光効果を発揮する形容詞や名詞をどんどん置いていったら、それが世の中に打って出る自分のパーソナル・ブランドとなります。
問題はそれを自分でいうかどうかです。謙遜の美徳がある日本社会では難しいことも多いと思います。好ましいのは他者がそう言って紹介してくれているという状況でしょう。自分ではない誰かが自分のことをそのように紹介、説明してくれるのは聞き手も素直に聞けます。そのためにはまずは自分からそのように紹介してくれる人を良く紹介するとよいかもしれません。ビジネスで自分のお客さんに誰かを初めて紹介する時、好ましいティーアップをするものですが、それは本当に大事だと思います。そのように誰かをブランディングするひとは、そのひとからもブランドとして他の場所で良く紹介されるものです。