尊敬される企業ブランドとは
配信日:2018年10月24日
先日、大阪のクライアントさんから創業100周年の時に作った社史を見せてもらう機会がありました。厚さ2cmほどのしっかりした作りです。早速、帰りの新幹線のなかで読みふけりました。
社史、というか歴史とは面白いもので、過去の繰り返しを見つけることが出来ます。社史もそうです。実際、読んでいると、創業の経緯や熱意などの他に、過去に起きた問題と同じような問題が後にも起きていたり、しかもその都度、同じような思考で切り抜けようと頑張っていたりなども見て取れます。成功もあれば失敗もあります。成功ばかりの社史が良いとは思いません。失敗は「チャレンジの証」であり、それ自体も誇るに足るものです。同じ失敗を繰り返さない賢明な意思決定も社史に残すべきでしょう。そこには「らしさ」もあるし美しさもあります。実に面白い。結局、「らしい」ことや「らしくない」ことを積み重ねるなかで、企業は社会から尊敬されるようになることもあれば、逆になることもあるのでしょう。
このクライアントさんの話というわけではないですが、私が思うに、社会から尊敬される企業というのはいくつかの要素を満たしています。私が思うのは以下の点です。
「独立自走している」。自らの意思で決定し行動しているというのが最初の要素かと思います。大きい会社であればあまりにも当たり前かもしれませんが、小さい会社であってもちゃんと利益を出し、税金を納め、将来ビジョンをもって戦略を描き、そして行動しているとすれば、素晴らしい。誰からも後ろ指さされることなく、自由に経営できるというのは実に誇らしい。
「美しい価値観がある」。価値観とは簡単に言うと「その企業に勤める人たちにとって大切・大事なこと」です。例えば「誠実」「革新」「安定」など、企業風土のベースにあるものです。価値観は長い目で従業員の行動、または顧客への製品満足やサービスレベルにも表れるもので、結果、企業の存続・存亡にも影響します。尊敬される会社には、ビジネスとしての利潤追求以上に、もっと高等な自分たちであろうとする精神的アイデンティティがあると思います。
「基礎研究・イノベーションへ継続投資している」。すぐにモノになるような研究でなくても、それを理解し投資を継続するのも特徴かと思います。長期的な競争力、強みの構築。企業のためと同時に、結局、社会の基礎体力の裾野を広げることになります。世の中の進歩はこのような企業によっていると思います。
「人材を輩出している」。社内での教育が社外で活躍する人材を作り出している。リクルートを持ち出すまでもありません。尊敬される企業にはそのような人材を再現・複製する土壌があり、彼らが社会で活躍することで企業の評判があがるという好循環です。
これら4つは日々の積み重ねを1枚の写真にパシャっと撮ったような、企業の「あり方」を問うものです。ちょっと理想主義的だと自分でも思います(笑)。しかし、どうせなら尊敬される企業を目指したいものです。そして何年後かの社史に残したいものです。