ブランド・コモディティ化の原因と傾向

配信日:2018年02月01日

売上が横ばいになってきている時、おそらくブランドがコモディティ化している可能性が高いものです。つまり消費者から飽きられてきている、または魅力がなくなっている状態です。大きくは4つの傾向があるように思います。それらを紹介していきましょう。

まずは「消費者の生活導線の変化によるブランドの置き去り」です。スマホ・ファーストの生活導線やウェブでの買い物に限らず、例えばシェア・エコノミーの出現によって「本当に買う必要があるのか」という根本での疑問に多くのブランドが晒されています。先日、私どもの事務所は北参道に新しいオフィスを借りたのですが、これもシェア・オフィス。ただし机だけ置いてあるベンチャー向けのシェア・オフィスではなく、部屋ごと借りるタイプのシェア・オフィスです。コストと使い勝手を考えた時にこれで十分だと納得しています。

二つ目は「新競合の出現、またはイノベーションによる既存カテゴリー自体のコモディティ化」とでも言いましょうか。アマゾン、グーグルによる業際化の流れは日常で見られるようになっているし、例えば自動車業界のイノベーションへの取り組みと新しいプレイヤーの出現はその典型のように思います。

三つ目は「社内のブランド観が足かせとなって変化を制限されることによるコモディティ化」。多くの場合、ブランド・カンパニーには製品ブランドごとにブランド・ステートメントを持っていて、それを指針にブランドのアクティビティの是非を決定します。仮にステートメントのようなものがなくても、成功したブランドほど「過去の成功体験」と「私たちのブランドとはこういうものである」というブランド観を強く持っています。そこから外れるようなことをすると居心地悪く感じるものです。つまり「私達らしくない」と思うのですが、外部の環境変化がそれ以上に大きい時、結局、ブランドは置いてけぼりになってしまうようです。そんなブランドはたいてい「そのブランドらしいコミュニケーション」や「そのブランドのコアバリュー」を打ち出す施策を行いますが、消費者からはあまり関心を持ってみてもらえないことが多いようです。

最後は単純な話なのですが、「リファインやリニューアルを怠ったことによる経年劣化」も見られます。これは少々詳しく話しましょう。新製品を出すことに精力を注いでいるうちに本丸のブランドが手薄になって、例えばパッケージデザインを見た時に「なんか昔っぽい」となってしまうことがあります。これが経年劣化と言える現象です。パッケージデザインに限らず、ブランドは元気なうちに手入れをしていくことが重要です。

例えば、ポカリスウェットは常にリファインをしてきたブランドです。基本的なパッケージデザイン(グラフィック)は1980年の発売時から変わっていません。しかしタイポロジーや使われているブルーカラーはその時代にあわせて微妙に変化させてきています。つまり消費者の気づかないレベルでチューニングをしているのです。それだけでなく、時代の変化にあわせて容器をリニューアルし続けてきました。発売当初は「200mℓ缶」「パウダー」「瓶」でしたが、やがて市場に定着し始めると「350mℓ缶」「500mℓペットボトル」「1.5ℓペット」「2ℓペット」。ペットボトルを水筒代わりに携帯する時代を迎えると「ちびサイズのペット」など。最近は環境を意識して「軽量化ペット」です。ポカリスウェットの場合は単にパッケージデザインのみならず、コミュニケーションのリファインを常に行うことでも有名です。要はマーケティング活動そのものも経年劣化するし、時代に合わせてリファインしていかなければならないのです。


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