こころの状態を知ること
配信日:2019年9月11日
幸せというのはこころの状態だと思います。よく「幸せになる」と言いますが、あれは間違い。幸せというのは「なる」ものではなく「幸せである」もの、つまり「状態」です。「幸せになる」と願っているということは、暗黙のうちに「いまは幸せではない状態」と考えているわけで、そう考えているうちはその状態が続きます。
思うに「思考」には「こうしたい」とハッキリ言いきれるようなものの陰に、「こうしたいと思っている」という無意識の思考があって、実際に目の前に現れるのは無意識のほうだと言われています。つまり「幸せになりたい」という思考の陰には「いまは幸せでない」という思考があるわけです。何かを成し遂げよう、願望を実現しようと思ったら、「何々したい」と言ってはならないと言われる理由はここにあります。
「運が悪い」「悪いことばかり起こる」という人がいますが、こういう人もこころの状態に問題があるのではないでしょうか。そもそも「悪いことばかり起こる」なんてことがあるのでしょうか。自分で勝手に悲劇のヒロインやヒーローを演じたいだけではないでしょうか。そうやっていると誰かが可哀そうに思って気にかけてくれるから。不運を愛するひとが本当に欲しいものは他人からの注目と愛情だと思います。
ところで、僕の人生経験では「良いことも悪いことも、だいたい同じくらい起こってきたかな」という感覚です。しかも「悪いこと」だと思っていたことも、今思うと「良いことだった」と思えることもあります。あの時、あんな悪いことがあったから、いまこうして良い人生を歩めていると思えること、多くないですか?
人間関係やお金に関することの多くは、そんなことだったと思います。親しくしていた人間に借金を踏み倒された思い出。結構な額でした。普通なら「悪いこと」ですが、いまではあの事件があったから「ひとに金を貸してほしいと言われたときの対処」を学ぶことが出来たと思えます。以来、そういう「依頼」があっても余裕で対処できるようになりました。
昔、松下幸之助さんの言葉でこんなことを聞いたことがあります。「私が成功できた理由は3つしかない。一つは家が貧しかったこと。二つ目は学歴がなかったこと。そして三つ目は病気だったこと。」家が貧しかったから一生懸命に働いた。学歴がなかったから一生懸命、学んだ。そして病気だったから自分より健康なひとを雇おうと思った。普通なら「運が悪い」と思えるようなことでも、考え方を変えると成功の理由になるのですね。こういうふうに考え方を変える、見方を変えるというのは訓練で出来るものだと思います。
こういう訓練を積む人こそ「運が良くなる」のではないかな。結局は悪いことが起きても、本当にそれが悪かどうかの判断は、もう少し先にならないとわからないと思えるようになる。または今の状況で何が起きても「悪いことの中にある良い意味に目を向ける」ことが出来るようになる。ビジネスやマーケティングも同じで、「弱みのなかに強みを見つけられる」ようになる。結局、成功する人、運の良い人、幸せな人というのはこころの状態を注意深く見つめて、鍛えるひとなのです。
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