ブランドとお客さんは似た者同士
配信日:2019年2月20日
先日、ネットスーパーのクライアントさんと話をしていました。テーマは「商品パッケージのデザインをどのような観点で作ったら良いか」です。ちなみに多くの会社でのパッケージデザインの作り方はこうです。まず製品コンセプトをデザイナーに説明しパッケージで表現したい文言を伝える。時には競合ブランドを見せながら差別化ポイントと表現上の違いを検討する。そしてパッケージ全体から伝えたい雰囲気、例えば「親しみがある」とか「洗練された」など、をキーワードとして伝える。だいたいこんな感じでオリエンは終了し、次回プレゼンを待つことになります。
プレゼンではいくつかのデザインが提案されて、その中から良いと思われるものを検討するのですが、この時にデザイン・テイスト(方向性)の違うものを何種類か提示されることがあります。こちらもいろいろな視点の気付きがありますし、デザイナーさんは良かれと思って複数の方向性を持ってくるのですが、これはマーケターのなかで目指すべきブランド・キャラクターやパーソナリティがちゃんと伝わっていないことを意味します。言葉を変えるならば、「親しみがある」や「洗練された」という言葉の解釈が曖昧、言葉だけでは解釈の余地が大きいということです。
妙に細かい話をしているように感じるかもしれませんが、多くのデザイン開発では「クリエイティブ」の名のもとに大事なブランド・パーソナリティ作りをデザイナーに丸投げしているのと同じなのです。パッケージデザインを作るとはブランド・パーソナリティを作るのと同義だと考えてほしい。そうすると何をもってパーソナリティを決めるのかという問いに変ります。
ブランド・パーソナリティは想定しているターゲット消費者のパーソナリティと表裏一体です。例えば、BMWに好んで乗る消費者は「BMWに乗っている自分」を好んでいるのです。これを「ブランドと自分の同一化」「投射」と言ってもよいでしょう。ブランドの所有や消費を通じて、消費者は「自分」を表現したいのです。つまり「自分らしい」「自分に相応しい」ものを選びたい。一種のラポールとも言えますし、もう少し地味な言い方をすれば「類は友を呼ぶ」わけです。よってパッケージは「ターゲット消費者のパーソナリティ」を表現したもの、彼らと親和性のあるものでなければなりません。
開発担当者やマーケターにしたら、オリエンではどうしても「この製品とは何か」の説明に終始しがちですが、本当はターゲット消費者をもっと語る必要があります。それも難しいペルソナではなく、例えば「有名人に喩えると誰々」のようなわかりやすいイメージ像を伝えることです。そこには性別や年齢、性格やライフスタイルなど言語表現では伝えきれないペルソナ情報が含まれます。もし広告などでタレントを使うのであれば、そのタレントこそがブランド・パーソナリティです。そのタレントがこの製品を使っていても違和感がないようなパッケージデザインなら間違いないでしょう。パッケージ開発とは製品の機能性や利便性をどう伝えるかと同時に、消費者像について改めて考えるプロセスなのです。
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