It’s old 営業
配信日:2019年9月25日
照英さんが出ている、It’s old営業という広告、面白いですね。「足を使って顧客を訪問・商談する営業」を「old営業」と一刀両断し、「これからはデスクで営業する時代」と謳う。なるほどと思う一方、僕の感覚では「本当に成果を出すのは足を使った営業」です。なぜなら、もし僕が得意先だとしたら、何かの案件が出た時に考えるのは「誰にお願いしようかな」「誰に相談しようかな」ということで、やはり思い浮かべるのは「具体的な営業マン」です。そんな時に、もし日頃、良くしてくれている営業マンや、若いけど頑張っている営業マンがいたら、そのひとにチャンスを上げたいと思う。特に(この広告が想定している)B2Bなら尚更です。
面白い広告なので批判ではなく言うのですが、この広告は企業に夢を見せていると思います。汗をかかずに自動集客マシンのように顧客がバンバン問い合わせてきたら、そりゃ楽でしょうね。しかし、そんなことで成果が出せたら苦労はしない(笑)。調べてみると、この広告主はオンライン商談で相互コミュニケーションができるソフトを販売しているらしく「デスクで集客」というわけではないようですが、知らなければ僕のような誤解をするひともいるかもしれません。
クライアントさんの営業研修でもよく話すのは「顧客は、あなたが付き合う価値のある人物かどうかを見極めようとしている」ということです。つまり企業名(ブランド)は入り口に過ぎず、本当は営業マン個人がどれほどのものかを見ている。だから顧客には自分の営業成績を目的にアプローチするのではなく、顧客の役に立つことを目的に接することが大事です。顧客から「よく考えてくれているね」と褒められるような提案をしていたり、顧客が「ここまでしてくれるのか」と感激してくれるような仕事をしていれば完璧です。会社のなかでの「営業のプロ」は売り込みの達人のように思われているかもしれませんが、顧客の目には「役に立つ営業マン」がプロなのです。ここに売り手と買い手でちょっとしたボタンの掛け違いがあるかもしれません。
それにしても、やはり得意先としっかり繋がっている営業マンは大事です。そういう意味では営業活動のレビューをする時に、まず「訪問件数」が目標通りだったかどうかを見るのは理にかなっています。なにより顧客がニーズを感じた時に最初に思い出してもらえるのは非常に有利な競争状況で、この時点で顧客は半分、その営業マンから買う気でいます。つまりコンペなし、値下げを要求されることもあまりありません。よって、デキる営業マンは分かっていて足を使い、顧客の問題に取り組み、そのような状態を作り上げるのです。
また足を使って顧客をまわる営業は、商談のスキル(営業の質)もメキメキ上げます。まるでバッターボックスに立つ回数が多ければ多いほどヒットの打率も上がるのと同じです。逆に営業活動に出向かなければ(バッターボックスに立たなければ)、当然、商談スキルも上がらないし、売上成績も上がらないのです。だから実際の企業活動でold営業というのは「古い」「新しい」の議論を超えて重要なのです。