「このブランドでいい」か「このブランドがいい」か。

配信日:2019年4月24日

先週末は東京各地でいろいろなイベントが開催され、2日間があっという間に終わった感があります。僕は土曜日、品川の日本酒フェスに出かけ、夕方からは友人のライブ・イベントへ。日曜日は青山の国連大学で開催された「東京カクテル7days (https://cocktailbar.jp/7days/)」にお邪魔しました。まあ、要するに飲みっぱなしの2日間だったわけですが。笑

「東京カクテル7days」では普通のバーでは飲めないような最先端のカクテルを何種類も楽しめます。今年のトレンドは「和」。わさび、ゆず、山椒、大葉といった日本のハーブを使ったカクテルがたくさん出展されていました。これは「日本だから」とか「令和になるから」ではなく、世界的なトレンドのようです。僕なんかは、カクテルというとお決まりのメニューを思い浮かべてそれを頼むタイプですが、トップ・バーテンダーの世界ではその先、その先を常に見つめていて、新しいトレンドを作り出しているのが現実。考えてみれば他の世界(業界)も、業界を牽引する企業やリーダーによってそのような進化を繰り返しています。

4月15日、パリのノートルダム大聖堂から出火。朝、ベッドの中でLINEニュースを見て、一気に目が醒めました。そして消火活動は難航し、屋根の大部分が焼失、尖塔が焼け落ちるという悲惨なことになりました。早速、世界中から再建の寄付が1200億円ほど集まったと聞きました。そして問題は「今後のデザインをどうするか」でした。

「これまでのデザインを忠実に再現するべきだ」「時代に応じてあらたに変えるべきだ」と2つの意見があるようですね。後者の論拠は「これまでのノートルダムも実は建設当初のものとデザインが違っていた」「忠実に再現することは困難」などのようです。ノートルダムのように歴史も思い出もある建造物のデザインを進化(変化)させるべきかどうか。

カクテルとノートルダムでは議論の質がまったく違いますが、ブランド・マネジメントの現場では「変化と維持」の問題は常にあります。これは担当するブランド・マネージャーの性格にもよります。出来るだけ変化を志向したいマネージャーであればカクテル的進化(+ノートルダム的な面影を残して)を。逆に慎重なマネージャーならノートルダム的維持(+若干の進化)を行いがちです。

しかし本当は「変化と維持」のルールはあり、その前提になるのは顧客とブランドの関係性です。顧客からどう思われているか。「このブランドでいい」と思われているか「このブランドがいい」と思われているか。この「で」と「が」が大きな違いです。

「で」は「このブランドでなくてもよいが、まあこれでいい」と思われている状態です。この時はカクテル的進化が必要です。顧客が「この程度でしょ」と思っているところに切り込んで「おっ」と見直してもらいたいものです。

逆に「が」と思われている時は「この、いまの状態が最高」と思われているので、出来るだけ変えないことが大事です。つまりノートルダム的維持が必要です。そのように考えると、一度、フランス国民のノートルダムの将来について民意を聞いてみたいものです。おそらく過去のノートルダムの再現が過半数を得るのではないでしょうか。

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